妻のスーツ姿に、なぜか敗北感を覚えた朝
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今日のお話は
近所の高市さんちの
旦那さんから聞いたお話です。
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1. 【一週間前:余裕の構え】
妻がさらりと言いました。
「再就職、決まったよ」
僕はコーヒーを飲みながら、
「おお!いいじゃないか!社会復帰だな!頑張れよ!」
と、余裕の笑み。
内心では——
「これで我が家の財政が回復…老後の資金が増やせるかな?」
妻が言います。
「家のこと、少しは分担できるよね?」
僕「もちろん!任せとけ!僕だって大人だぞ!」
(このときの自分に言いたい。“お前はまだヒヨコだ”)
2. 【三日前:静かなる恐怖】
突然、重大な事実に気づく。
妻が会社に行くということは——
「ねえ、僕の靴下どこ?」
という僕の定期質問に答える存在が、いなくなる。
僕「え、ちょっと待って。僕の靴下、今どこにあるの?」
妻「自分の引き出し」
僕「僕の引き出しってどこ?」
妻「あなたのタンス」
僕「僕のタンスってどれ?」
妻「……」
沈黙。
洗濯機を前に立つ僕。
ボタンが多い。多すぎる。
僕「これ、洗濯ってどのボタン?」
妻「“スタート”って書いてあるやつ」
僕「日本語で?」
妻「……日本語だよ」
さらに問題発生。
僕「ゴミ袋ってどこ?」
妻「シンクの下」
僕「シンクの下のどこ?」
妻「右」
僕「右って、僕から見てなの? 君から見て?」
妻「地球から見て右!!」
3. 【前夜:戦闘モード発動】
リビングに現れたのは、
いつもの“部屋着で髪をクリップ留めして、片手でお菓子をつまむ妻”ではない。
そこにいたのは——
黒のスーツ。
低めのヒール。
まとめ上げた髪。
背筋が一本の刀のように伸びている女。
僕「……誰?」
妻「あなたの妻」
いつもは
「ちょっと醤油取って〜」
「今日の晩ごはん何にする〜?」
「アイス半分ちょうだい〜」
と言っている人と同一人物とは思えない。
その目は完全に“戦闘モード”。
僕「名刺交換の練習する?“恐れ入ります”の角度とか」
妻「いらない」
僕「お局様対策の呪文とか——」
妻「あなたが一番うるさい」
僕「朝ごはんは僕が作ろうか?」
妻「卵割れるの?」
僕「……ヒビは入れられる」
妻「殻入れちゃうでしょ」
僕「たぶん入れちゃう」
4. 【当日朝:主役交代】
朝。
キッチンに立つのは僕。
フライパンを持つ姿が、まるで初めて包丁を握る子供。
僕「卵って、どこから割るのが正解?」
妻「どこでもいい」
僕「テーブルの角?」
妻「やめて」
コンッ。
パカッ。
ボチャッ。
殻、三枚。
僕「これ、タンパク質的に問題ないよね?」
妻「衛生的に問題ある」
トースターの前。
僕「パンって何分?」
妻「“トースト”って書いてあるでしょ」
僕「焦げ目レベルが三段階ある!」
妻「普通!」
僕「普通って何!!」
その横で、スーツ姿の妻がメイクを仕上げる。
鏡の中の彼女は完全に別人。
僕「なんか…強そう」
妻「強いよ?」
僕「僕、家守れるかな」
妻「まずゴミ出し時間と場所守って」
5. 【玄関:完全なる敗北】
ヒールを履き、バッグを持ち、振り向く妻。
その背中はもう“お母さん”ではない。
完全に
「戦地へ向かうビジネス戦士」
僕(パジャマ、寝癖、卵の殻を指につけたまま)
「……い、いってらっしゃい」
妻「行ってきます」
僕「晩ごはん、どうすればいい?」
妻「冷蔵庫見て考える」
僕「冷蔵庫の中、見方がわからない」
妻「開ければ見える」
僕「ゴミ袋は?」
妻「さっき言った」
僕「右ってどっちだっけ?」
妻「地球から見て右!!」
ドアが閉まる。
静寂。
僕はリビングの真ん中でつぶやく。
「……会社員生活は僕のほうが長いのに、
なんで僕が新人みたいになってるんだ」
そしてスマホを握りしめる。
僕「……ねえ、卵焼きってどうやって作るの?」
返事なし 既読スルー。
ーほんならねー
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最後までお読みくださりありがとうございました。
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ぜひ見てみてくださいね。
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妻がさらりと言いました。
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僕はコーヒーを飲みながら、
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と、余裕の笑み。
内心では——
「これで我が家の財政が回復…老後の資金が増やせるかな?」
妻が言います。
「家のこと、少しは分担できるよね?」
僕「もちろん!任せとけ!僕だって大人だぞ!」
(このときの自分に言いたい。“お前はまだヒヨコだ”)
2. 【三日前:静かなる恐怖】
突然、重大な事実に気づく。
妻が会社に行くということは——
「ねえ、僕の靴下どこ?」
という僕の定期質問に答える存在が、いなくなる。
僕「え、ちょっと待って。僕の靴下、今どこにあるの?」
妻「自分の引き出し」
僕「僕の引き出しってどこ?」
妻「あなたのタンス」
僕「僕のタンスってどれ?」
妻「……」
沈黙。
洗濯機を前に立つ僕。
ボタンが多い。多すぎる。
僕「これ、洗濯ってどのボタン?」
妻「“スタート”って書いてあるやつ」
僕「日本語で?」
妻「……日本語だよ」
さらに問題発生。
僕「ゴミ袋ってどこ?」
妻「シンクの下」
僕「シンクの下のどこ?」
妻「右」
僕「右って、僕から見てなの? 君から見て?」
妻「地球から見て右!!」
3. 【前夜:戦闘モード発動】
リビングに現れたのは、
いつもの“部屋着で髪をクリップ留めして、片手でお菓子をつまむ妻”ではない。
そこにいたのは——
黒のスーツ。
低めのヒール。
まとめ上げた髪。
背筋が一本の刀のように伸びている女。
僕「……誰?」
妻「あなたの妻」
いつもは
「ちょっと醤油取って〜」
「今日の晩ごはん何にする〜?」
「アイス半分ちょうだい〜」
と言っている人と同一人物とは思えない。
その目は完全に“戦闘モード”。
僕「名刺交換の練習する?“恐れ入ります”の角度とか」
妻「いらない」
僕「お局様対策の呪文とか——」
妻「あなたが一番うるさい」
僕「朝ごはんは僕が作ろうか?」
妻「卵割れるの?」
僕「……ヒビは入れられる」
妻「殻入れちゃうでしょ」
僕「たぶん入れちゃう」
4. 【当日朝:主役交代】
朝。
キッチンに立つのは僕。
フライパンを持つ姿が、まるで初めて包丁を握る子供。
僕「卵って、どこから割るのが正解?」
妻「どこでもいい」
僕「テーブルの角?」
妻「やめて」
コンッ。
パカッ。
ボチャッ。
殻、三枚。
僕「これ、タンパク質的に問題ないよね?」
妻「衛生的に問題ある」
トースターの前。
僕「パンって何分?」
妻「“トースト”って書いてあるでしょ」
僕「焦げ目レベルが三段階ある!」
妻「普通!」
僕「普通って何!!」
その横で、スーツ姿の妻がメイクを仕上げる。
鏡の中の彼女は完全に別人。
僕「なんか…強そう」
妻「強いよ?」
僕「僕、家守れるかな」
妻「まずゴミ出し時間と場所守って」
5. 【玄関:完全なる敗北】
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「……い、いってらっしゃい」
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僕「晩ごはん、どうすればいい?」
妻「冷蔵庫見て考える」
僕「冷蔵庫の中、見方がわからない」
妻「開ければ見える」
僕「ゴミ袋は?」
妻「さっき言った」
僕「右ってどっちだっけ?」
妻「地球から見て右!!」
ドアが閉まる。
静寂。
僕はリビングの真ん中でつぶやく。
「……会社員生活は僕のほうが長いのに、
なんで僕が新人みたいになってるんだ」
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