今日、妻が家を出ていく。

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ChatGPT Image 2026年1月23日 09_57_27こぴ.jpg

ついにこの日が来たのかと、私は朝から震えていた。

40年以上連れ添った妻が、
ついに――
ついに――
私を捨てるのだ。

若いころの妻は、それはもう可愛かった。

私が会社に行こうとすると、
「行かないで……あなたがいないと生きていけない……」
と、涙ぐみながら私の手を両手で握ってきた。

あの頃の私は思っていた。
「俺がこの人の人生を支えているんだなぁ」と。

……それが今ではどうだ。

「アンタまだ生きてるの!しぶといわね」
「そこ立ってるだけで邪魔。ゴミ以下よ」
「ねぇ、なんでまだ息してるの?」

……40年で妻の愛情は、

恋人 → 家族 → 空気 → 不燃ゴミ

へと、見事な進化を遂げた。

※なお、分別は厳密である。

そんな妻が、今朝は妙に静かだった。

(あれ……?
今日はまだ私に文句を言っていない……?
これは……逆に怖い……!)

嵐の前の静けさ。
これはもう、離婚届が冷蔵庫から出てくるやつだ。

妻は朝食を食べながら、深いため息をついた。

「はぁ……もう限界ね……」

私は箸を落とした。

(ついに……!
ついに別れ話か……!!)

心臓がバクバク言っている。
血圧計があったら、今すぐ救急車案件だ。

勇気を振り絞って聞いた。

「お、お前……どこか行くのか……?」

妻は無言で立ち上がり、バッグを持った。

「行くわよ。もう我慢できないの」

(ああああああああああ!!
終わった!!
40年の夫婦生活が!!
俺の人生が!!)

頭の中で走馬灯が流れた。
新婚旅行、子育て、住宅ローン、
そして最後に浮かんだのは――
昨日言われた「邪魔」。

妻は玄関で靴を履きながら、
チラッと私を見て言った。

「アンタ、泣きそうな顔してるけど……
そんなに私がいないと困るの?」

私は、震える声で答えた。

「こ、困るよ……そりゃ……」

妻は鼻でフンと笑った。

私は、意を決して叫んだ。

「ど、どこへ行くんだ……!」

妻は振り返り、
まるで天気予報でも読むかのように、
冷静に、淡々と言った。




「整形外科よ。
昨日から腰が痛いの。」



ーほんならねー

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最後までお読みくださりありがとうございました。
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ぜひ見てみてくださいね。

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