シニアが絶対に読んではいけないエロ話

むかしむかし、あるところに、
たいへんえっちな小説ばかりを書いていた作家がいた。

彼の文章は、
・意味深に風が吹き
・理由もなくシャワーの音がし
・必要以上にカーテンが揺れ
・登場人物はやたらと汗をかく

読者が「で、何が始まるんだ?」と思った瞬間に、
なにも始まらないという高度な官能技法で知られていた。

彼は胸を張って言っていた。
「文学とは、間だ」
「湿度だ」
「読者の想像力に任せることこそ、えっちだ」

そんな彼が、ある日、生成AIに向かってこう言った。

「この写真をもとに、水彩画を生成してほしい。
 いやらしくなく、品よく、静かにそして清楚に」
A horizontally frame.jpg

AIは即答した。

「不適切です」

彼は耳を疑った。
これまで
 ・比喩
 ・暗喩
 ・余白
 ・沈黙
だけで生きてきた男に向かって、
「不適切」とは何事か。

「これは社会的に健全な写真だ」
「むしろ道徳的だ」
「服も着ている」
「股も広げていない」

しかしAIは冷静だった。
「いやらしい可能性があります」

その瞬間、
彼の中で何かが完全に切れた。

――あれ?
――俺が一生懸命磨いてきた
――“いやらしさの気配”って
――全部、誤検知される対象なの?

彼は机に向かい、
いつもの調子で原稿を書こうとした。


 真由美は、窓辺に立っていた。
 カーテンが揺れた。
 それは、風のせいかもしれない。



……書けない。💦


 タカシは、黙ってコーヒーを置いた。
 その沈黙には、意味があった。


……意味がない。


ペンが止まり、
彼は初めて気づいた。

「……俺、
 もう“えっち”がなんだかわからない」


その日から、彼の小説は変わった。

 高齢化社会における地域コミュニティの希薄化は、
 個人の孤立を加速させている。


編集者は震えた。
「先生……どうしたんですか?」

彼は静かに答えた。

「いやらしさは、
 AIに拒否された」

それ以降、
彼の作品には
・風は吹かず
・カーテンは揺れず
・誰も汗をかかず

代わりに
・制度
・構造
・責任の所在
が、きっちり整理された。

評論家は言った。
「この作家は、
 欲望を失った代わりに、
 現実を手に入れた」

本人は言った。
「違う。
 俺はただ、
 NGを食らいすぎただけだ」


こうして、
日本一えっちだった官能小説家は、
日本一まじめな社会問題小説家になった。

そして今日も彼はごらんのとおり書いてる。
(俺か!?)

ーほいたらねー

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最後までお読みくださりありがとうございました。
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