シニアの心を揺さぶる歌 「けれど生きている」
なんのことはありません
私のブログは単なるシニアブログです
ただ昔の歌を思い出しながら書いています
ときにいろいろと歌を探していると
「おぉぉ!!これだ!!」
というものに出会えます
今日は過去記事を読んでいて
出会えた歌を紹介します
まずは小説を読んでください
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古い木造の家。
きしむ柱の音で、老人・誠一(せいいち)はゆっくりと目を覚ました。
彼のまぶたに、朝の光がそっと触れる。
まるで誰かが優しく「おはよう」と頬に手を添えたように。
「……久しぶりに、よく眠れたな」
誠一はそうつぶやき、手探りで眼鏡を探した。
朝の光は、柔らかく、温かかった。
その温もりは——
かつて隣で笑っていた妻・咲(さき)の笑顔とよく似ていた。
「咲……お前、また先に起きてるのか?
まったく、昔から早起きなんだから」
思わず声が漏れる。
もちろん、返事はない。
けれど、その静けさすら、彼には“会話”の続きのように思えた。
若い頃、彼はたくさん夢を見た。
そしてたくさん失敗もした。
裏切られ、傷つき、何度か人生を投げ出しそうにもなった。
それでも——朝だけは裏切らなかった。
「朝がくると…あぁ、まだ生きてていいんだなって思える」
呟きながら、誠一はふらりと立ち上がる。
窓へ、歩く。
その足取りは遅いけれど、確かな意志を感じさせた。
ギィ、と窓を開けると、冷たい空気が頬を撫でた。
「ひゃあ…寒いなぁ。けど、悪くない」
鳥の鳴き声が響き、木々が揺れる。
空はまだ淡い色で、これから世界が目を覚まそうとしていた。
誠一は、その光景をしばらく眺めていた。
すると胸の奥で、静かに何かが広がった。
——あぁ、今日も世界は美しい。
「咲よ…聞こえるか?
お前がいなくなってから、寂しくてたまらなかったけどな。
……それでもな、まだ俺は生きてる。
小さな人生かもしれんが、ちゃんと、ここにあるんだ」
しばし沈黙。
その沈黙を埋めるように、優しい風が頬に触れた。
まるで、
——咲が彼の隣に立ち、背にそっと手を添えたかのようだった。
誠一は胸に手を当て、ゆっくりと息を吸う。
「……見届けてみたいな。
この人生の終わりも、始まりも。
お前がいたこの世界が、どこまで続くのか」
その言葉は、恐れではなかった。
別れを覚悟した声でもなかった。
それは、
生きてきた証を確かめ、
これからを受け入れる、静かな勇気の宣言だった。
光の中で、誠一は微笑む。
ふと、遠い日の咲の笑顔が重なった。
「お前が居た人生は…悪くなかったよ、咲」
そう呟いたとき——
朝の光は彼を抱きしめるように、やわらかく広がった。
その瞬間。
ふすまが、勢いよく ガラッ!!
「おはよう。 なにバカなこと言ってんの、あんた。!」
誠一は思わずのけぞった。
「……は???」
立っていたのは、完全に寝癖と戦闘態勢を整えた、
生きてるし、元気だし、普通に朝から強い咲。
「な、なに咲!? なんだもう起きたのか!?」
「起きたわよ。アンタのへたくそな“詩人みたいな独り言”がうるさくて寝てられないの。」
誠一は、ぽかんと口を開けた後、頭をかく。
「いや…その……昔のお前は、しとやかで優しくてだな……」
咲は腕を組んで近づく。
「え? で、で、今の私は?」
誠一は遠くを見つめながら言った。
「……あれから40年、こんなのになっちゃって……」
咲の目がキラーン。
「誰が“こんなの”よ。ビンタするわよ。」
「そうよ、私、怒っているのよ!」
二人はしばらくにらみ合った後、
ふっと同時に笑った。
誠一は照れくさそうに頭を下げる。
「……まぁ、お前とこうして朝を迎えられるなら、なんでもいいさ」
咲は鼻で笑いながら、テーブルの方へ歩き出す。
「はいはい。じゃあ朝ごはんね。
アンタの分だけ、今日はちょっと小さくしとくわ」
「なんでだ!」
「長生きしてもらわないと困るからよ。
……ほら、行くわよ誠一。」
誠一は肩をすくめ、でもどこか嬉しそうについていく。
そしてまた、朝の光が二人の背中を照らした。
――バカバカしくて、愛おしい、
40年目の夫婦の朝だった。
ーほいたらねー
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【けれど生きている】かぐや姫
夜が終わって 朝に僕をかえしてくれる
朝の光が僕をつつむ やさしくつつむ
君の笑顔のように
人生に始まりと 終りがあるなら
見とどけてみたい
たったひとつの 部屋の窓をおおってしまう
この光は どこからか 何のために
そのはげしさで
僕に夢をえがかせ そしてうらぎるのか
教えて欲しい
ここに僕が 居ることを知っているのか
お前にすれば ちっぽけな 何もない
けれど生きている
人生に始まりと 終りがあるなら
見とどけてみたい 見とどけてみたい
最後までお読みくださりありがとうございました。

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夜が終わって 朝に僕をかえしてくれる
朝の光が僕をつつむ やさしくつつむ
君の笑顔のように
人生に始まりと 終りがあるなら
見とどけてみたい
たったひとつの 部屋の窓をおおってしまう
この光は どこからか 何のために
そのはげしさで
僕に夢をえがかせ そしてうらぎるのか
教えて欲しい
ここに僕が 居ることを知っているのか
お前にすれば ちっぽけな 何もない
けれど生きている
人生に始まりと 終りがあるなら
見とどけてみたい 見とどけてみたい
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