秒速5センチメートルを読んで
なぜ遠野貴樹は「俺はきみが好きだ。
結婚してくれ」となぜ言えなかったのか。
新海誠さんの『秒速5センチメートル』。
Wikiでは「どれほどの速さで生きれば、
きみにまた会えるのか」という
キャッチコピーがついているが、
正直そんなことはどうでもいい。
僕が読んだ感想を一言で言うなら、こうだ。
「俺はきみが好きだ。 結婚してくれ」
となぜ言えなかったのか。
主人公・遠野貴樹は、小学生のころに出会った
篠原明里をずっと忘れられない男だった。
彼の人生は、ずっと
過去に置き忘れた恋”の影を引きずっている。
高校時代、彼を想い続けた澄田花苗は、
ただの片想いで終わった。
大学時代、アルバイト先で出会った女性にはこう言われてしまう。
「あなたのことは好きだけど、
あなたの心は私に向いていない。」
そして社会人になってから出会った水野理紗。
彼女とはお互いに想い合っていた。
それなのに――別れた。
理由は単純だが、痛いほどリアルだ。
「尽くしているのに、
相手が仕事で忙しく、メールにも返事が来ない」
そんなすれ違いが積み重なり、
信じられなくなっていく。
つまり、相思相愛でも別れるときはある。
信頼がすれ違った瞬間に。
遠野貴樹という男は、
女性を“好きにさせる”ことはできても、
“信じさせる”ことができない男だったのかもしれない。
ラストで水野理紗が送ったメールが泣かせる。
「今でもあなたが好きです。」
……でも、もう遅い。
心が通じるタイミングを逃した二人には、もう「次」はない。
映画版とは少し違う結末もあり、小説ならではの深みがある。
Wikiのあらすじを読むより、ぜひ一度、自分の目で読んでほしい。
きっとあなたも、ページを閉じたあとに思うだろう。
――どうして、好きと一言言えなかったのか。
ーおしまいー
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米津玄師 【1991】
君の声が聞こえたような気がして僕は振り向いた
1991僕は生まれた 靴ばかり見つめて生きていた
いつも笑って隠した 消えない傷と寂しさを
1991恋をしていた 光る過去を覗くように
ねえ こんなに簡単なことに気づけなかったんだ
優しくなんてなかった 僕はただいつまでも君といたかった
雪のようにひらりひらり落ちる桜
君のいない人生を耐えられるだろうか
どこで誰と何をしていてもここじゃなかった
生きていたくも死にたくもなかった
いつも遠くを見ているふりして 泣き叫びたかった
1991恋をしていた 過ぎた過去に縋るように
ねえ 小さく揺らいだ果てに僕ら出会ったんだ
息ができなかった 僕はただいつまでも君といたかった
雪のようにひらりひらり落ちる桜
君のいない人生を耐えられるだろうか
1991僕は瞬くように恋をした
1991いつも夢見るように生きていた
最後までお読みくださりありがとうございました。
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