【あの歌は歌はないのですか】伊勢正三
「よし!
順子の歌が出来たぞ!」
俺は高校時代に大好きだった順子の歌を作った
「離れない 離さない 離したくない君」
ほんと、歌詞そのままだった
たまらなく好きだった
「今も会いたいよう順子
でも何度もアタックしたけど
いつも断られたっけ
順子寂しいよぉーーー!」
「順子ーーー!
おまえの名を呼ぶたびに
悲しさや寂しで胸が締めつけられるよ
もうほんと、
我慢が出来ないよーーー!」
「でも順子は高校を卒業したと同時に
結婚をしてしまったっけ
あいつと比べていたなんて!
「順子の馬鹿やろうーーー!」
・
・
・
「長渕さん、
今度のリサイタルが決まりましたよ」
マネージャーの吉田が告げた
「どこでやるんだ」
「はい、府中のコンサートホールです」
「わかった」
「さっき出来た
「順子」の歌も発表をしよう」
「わかりました、
さっそく新聞のお知らせ欄に載せておきます」
数日後
府中のコンサートホールで
長渕のリサイタルがあった。
そしてそこには
あの順子が
ホールの後ろのほうで聴いていた
もちろん、
後ろのほうは暗くて遠くて見えない
そして長渕は高校生時代に
大好きだった
「順子」の歌をうたった
「順子
君の名を呼べば僕はせつないよ
やさしさはいつも僕の前で
カラカラから回り~♬」
ーほいたらねー
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