米津玄師 - さよーならまたいつか!

publicdomainq-0082762jhj.jpg

Amebaブログでやめちゃう人がいました。
前から僕のブログのフォローワーになってくれてる人でした。

またいつか逢いましょうとブログに書いてありました。
僕はその言葉を見てふと「虎に翼」の歌を思い出しました。

ということで今日の小説は
米津玄師 - さよーならまたいつか!「虎に翼」です。

-----------------・-----------------

「どこから春が巡ってくるんだろうな」
私は空を見上げながらつぶやいた。
燕が飛んでいた。気のない顔で。まるで私を無視しているみたいに。

「お前はいいな、飛べて」
そう言うと、燕は一度も振り向かずに行ってしまった。

知らないうちに大人になって、知らないうちに置いていかれて、
気がつけば、もう春を信じるのが怖くなっていた。

「もしもわたしに翼があったら」
そう言ったとき、あの人は笑った。
「おまえ、また空の話かよ」

「飛びたいんだ。どこまでも、誰にも縛られずに」
「……それ、逃げたいって言うんだぜ」

そう言われて、私は黙った。
逃げたかった。
それを否定できるほど、強くなかった。

「さよなら。100年先でまた会おう」
「おい、なに言ってんだよ、それ」
「心配すんな。100年なんて、すぐだ」

花が落ちた日、雨が降っていた。
誰かが私に嘘をついた。
でももう、怒る気力がなかった。

「土砂降りでも構わない。飛んでいけたらそれでいい」
そう呟いた声は、雨音にすぐ消えた。

「恋なんて、もう二度としない」
そう思った矢先に、また恋に落ちた。

「バカじゃん」って友達が笑う。
「そうだよ、バカだよ」
「痛いくせに、またやるのか?」
「痛いから、生きてるって思えるんだよ」

血が滲む唇で、空に唾を吐く。
「見てろよ、燕。あんたみたいに飛んでやる」

ある日、あの人が言った。
「この世界は地獄だ」
「そうだね。でも――地獄の先に春があるよ」
「は?」
「本当に咲くんだ。痛みを知った人間の上には」

彼は笑って、「お前、相変わらず意味わかんねぇな」と言った。

縄を噛みちぎるように、私は自分を縛る言葉を壊していった。
「狙え、虎のように」
「どこまでもゆけ」
「もう誰にも止められない」

空の彼方で、燕が小さく旋回している。
あれがあの人だったらいいな、と思う。
「ねえ、100年先でも覚えてる?」
風の中から、笑い声が返ってきた気がした。

私は羽を広げた。
気儘に、どこまでも飛んでいく。

「生まれた日から、私は私だったんだ」
空に叫ぶ。
「知らなかっただろ!」

そして笑って、言う。
「さよーなら、またいつか!」

ーおしまいー

-----------------・----------------- 
米津玄師 - さよーならまたいつか!「虎に翼」


どこから春が巡り来るのか 知らず知らず大人になった
見上げた先には燕が飛んでいた 気のない顔で

もしもわたしに翼があれば 願う度に悲しみに暮れた
さよなら100年先でまた会いましょう 心配しないで

いつの間にか 花が落ちた 誰かがわたしに嘘をついた
土砂降りでも構わず飛んでいく その力が欲しかった

誰かと恋に落ちて また砕けて やがて離れ離れ
口の中はたと血が滲んで 空に唾を吐く
瞬け羽を広げ 気儘に飛べ どこまでもゆけ
100年先も憶えてるかな 知らねえけれど さよーならまたいつか!

しぐるるやしぐるる町へ歩み入る そこかしこで袖触れる
見上げた先には何も居なかった ああ居なかった

したり顔で 触らないで 背中を殴りつける的外れ
人が宣う地獄の先にこそ わたしは春を見る

誰かを愛したくて でも痛くて いつしか雨霰
繋がれていた縄を握りしめて しかと噛みちぎる
貫け狙い定め 蓋し虎へ どこまでもゆけ
100年先のあなたに会いたい 消え失せるなよ さよーならまたいつか!

今恋に落ちて また砕けて 離れ離れ
口の中はたと血が滲んで 空に唾を吐く
今羽を広げ 気儘に飛べ どこまでもゆけ
生まれた日からわたしでいたんだ 知らなかっただろ
さよーならまたいつか!

最後までお読みくださりありがとうございました。
にほんブログ村 ライフスタイルブログ シニアのシンプルライフへ
にほんブログ村