夜に聴く曲 【雨の物語】イルカ
この曲は伊勢正三さん(正やん)の作詞・作曲です。
ですから、正やんの動画でやろうと思いましたが
なかなかこの歌に合う動画が見つからない。
ですからやっぱり、イルカさんの歌にしました。
こういう歌を聴いていますといつも思います。
(彼女はどうして彼の部屋から去っていくのか?)
この歌ではどうやら
「喧嘩別れ」ではないようです。
また「ふがいない男」から去るのではない。
なにやら、もう自分たちではどうしようもない事情で
彼女が去るのだろうと推測します。
昭和40年代このような別れもありました。
そのへんを思いながら読んでください。
夜に聴く曲 【雨の物語】イルカ です。
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鏡の前で、彼女が化粧を整えていた
小さな背中が、とっても小さく見える
声をかければ壊れてしまう気がして、息だけが重なる
窓を打つ雨は、物語の終わりを告げる鐘のように響いていた
思い出す
あの雨の日
びしょ濡れでドアの前に立つ彼女を迎え入れた瞬間から
すべては始まった
濡れた髪を撫で、震える肩を抱いたとき
未来は二人のものだと、信じていた
けれど現実は違った
彼女は家の望む縁談に流され、抗うことを許されなかった
跡取りだとか、親の顔だとか
愛よりも重い鎖に縛られていた
それでも――
最後にここへ来たのは、忘れたくなかったから
心だけは、ずっと僕にあったと確かめたかったから
彼女はドアに手をかけ、震える声で言う
「ごめんね、結婚するの」
その横顔に光るものを見て、胸の奥が崩れてゆく
叫びたかった
引き留めたかった
でも声にならない
ただ彼女の背を、目で追うことしかできない
雨が強くなる
肩を濡らす音が、部屋の奥にまで染みこんでゆく
彼女の気配が消え、静寂だけが残る
窓の外は雨
始まりの日と同じ雨
あの日と同じ匂い
けれど、もう二度と同じ未来は訪れない
ーおしまいー
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イルカ / 雨の物語
化粧する君の その背中がとても
小さく見えて しかたないから
僕はまだ君を 愛しているんだろう
そんなことふと思いながら
窓の外は雨 雨が降ってる
物語の終りに
こんな雨の日 似合いすぎてる
誰もが物語 その1ページには
胸はずませて 入ってゆく
ぼくの部屋のドアに 書かれていたはずさ
「とても悲しい物語」だと
窓の外は雨 あの日と同じ
肩を濡らした君が
ドアのむこうに立っていたのは
窓の外は雨 雨が降ってる
いく筋もの雨が
君の心のくもりガラスに