67歳のすれ違い
まず
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さて今日は二十歳のめぐり逢いから2年後に結婚をして2人の子供にも恵まれその子供たちも幸せな家庭を築けているという67歳熟年夫婦のお話です。
風に震えるオレンジ色の 枯れ葉の舞い散る停車場で。。。。。
では、「67歳のすれ違いをどうぞ」
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夫「なぁ…今日の味噌汁、ちょっとしょっぱいぞ…」
妻「しょっぱいくらいで文句言うな! 世界はもっとしょっぱいんだ!」
夫「世界基準で味噌汁語られてもなぁ…」
妻(パンフを広げながら)「オレな、次はブロードウェイ行くんだ」
夫「ブロードウェイ!? 駅前の“天下一品ラーメン”じゃなくて?」
妻「ちげーよ! 本場のミュージカルだ! あんたは留守番して犬の散歩でもしてろ」
夫「ウチ、犬いねぇぞ」
妻「じゃあ植木鉢引きずって歩け!」
夫「なぁ、たまには一緒に出かけようよ」
妻「もう無理! あんたと出かけたら、五分で『腰痛い』って言うだろ。オレは今、人生のハイキック中なんだよ!」
夫「ハイキックって…どこの格闘家だよ」
妻(立ち上がり、ポーズを決める)
「オレは67歳! 老後どころか、今が人生最大の青春なんだよ!
舞台よし! 旅行よし! 映画よし! ついでにカラオケでオレのソロライブよし!」
夫「俺の居場所はどこなの?」
妻「壁と冷蔵庫の間!」
夫「おい!家具のスキマかよ!」
妻「うるせぇな、じゃ、オレ行くからな!」(バッグを背負って颯爽と)
夫「お・おい、晩ご飯は?」
妻「冷蔵庫に納豆あるだろ。混ぜとけ! 世界一の発酵食品だ!」
夫「俺の夕飯、世界一早いスピード料理かよ…」
(妻、ドアをバンと閉めて出て行く)
夫「はぁ…。結婚45年。昔は『あなたがいなきゃ』って言ってたのに、今じゃ『あんた、邪魔すんな』だもんな…」
(味噌汁をすする)
夫「……でもまぁ、暴走機関車が元気なら、踏切で見送るのも悪くないか」
(妻はブロードウェイへ。夫は1人で家で留守番)
【留守中の1週間】
夫「1日目…味噌汁と納豆。
2日目…味噌汁と卵かけご飯。
3日目…味噌汁とカップラーメン。
……俺の胃袋、和風ローテーションしかない!」
(テレビをつける)
アナウンサー「ニューヨーク・ブロードウェイは大盛況で…」
夫「……あれ_映像の端に写ってるの、あれウチのカミさんじゃねぇのか!? 双眼鏡で邪魔だとばかり前の人の髪をつかんでるぞ!」
夫「4日目。冷蔵庫の野菜がしなびた。
5日目。洗濯物が山になった。
6日目。誰とも会話してねぇ…。
7日目。……俺、もしかして一週間で仙人になった?」
(ヒゲを触る)
「うわ、本当に伸びてる!」
【1週間後・妻帰宅】
(玄関ドア、バァン!)
妻「ただいまァーーッ! ブロードウェイ最高だったァァ!」
夫「やっと帰ってきたか! 俺は一週間、誰とも喋らず、冷蔵庫の納豆に話しかけて暮らしてたぞ!」
妻「納豆と会話? あんた、発酵しすぎじゃない?」
夫「俺の精神が発酵したんだよ!」
妻「でもな、オレは見てきたんだ! 本物のダンス! 本物の歌! オレは今からニューヨーカーだ!」
夫「おまえ、さっきまでスリッパ履いたまま帰ってきただろ!」
妻「ニューヨークの風を浴びたスリッパだよ!」
夫「湿気しか浴びてねぇわ!」
妻「でな、オレ決めた! 次はロンドンの劇場街だ!」
夫「もう次行くの!? 俺の夕飯はどうするんだ!」
妻「あんたは冷凍うどんがあるだろ。それでも食べとけ!」
夫「それだけかよ!」
妻「うるせぇな! オレは世界を見てくる! あんたは冷凍庫を見てろ!」
夫(ひとりごと)
「暴走機関車が帰ってきた…と思ったら、もう次の線路に走り出してる。
でもまぁ…オレも一週間で悟りを開けたし、案外いい修行かもしれんな」
(味噌汁をすすりながら)
夫「……しょっぱいけど、まぁ悪くないわ」
ーおしまいー
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岡村孝子 「夢をあきらめないで」