【わかれうた】 中島みゆき (新舞姫)
今日は巨匠、森鴎外先生の
「舞姫」を
物語を書きました。
書いた私がいうのもなんですが、
とても耐えられない
悲しいお話しです。
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僕の名前は 清水良太。
三十二歳、官庁勤務。
将来を嘱望され、留学先のドイツでも「日本の若きホープ」と持ち上げられていた。
けれど――彼女に出会ったあの冬の夜から、
僕の人生は変わった。
ベルリンの街角。
雪の舞う夜、劇場の裏口で一人の女性が倒れていた。
「大丈夫ですか」
思わず抱き起こすと、彼女はかすれた声で答えた。
「……ありがとう。舞台で働いてるの。でも、給料は安くて、弟と妹を養わなきゃならなくて」
彼女の名前は アンナ・シュミット。
母を早くに亡くし、家族を背負って生きる、
夢に疲れたダンサーだった。
その日から、僕たちは何度も会った。
劇場の裏で、川沿いのカフェで、時には僕の下宿でも。
アンナは笑うと、世界の冬を全部溶かすような人だった。
彼女の夢を聞くたびに、僕の心の虚しさは消えていった。
「良太、あなたといると、どんな未来も怖くない」
「僕もだ。君がいれば、出世も官職もどうでもいい」
本当に、そう思っていた。
だが、現実は残酷だった。
役所の同僚たちは「日本人官僚が外国娘に溺れている」と笑い、
その噂は東京にまで届いた。
数か月後、帰国命令が下った。
(一緒に日本へ行こう)
僕は口にしかけて、言葉を飲み込んだ。
日本の官庁が、彼女を受け入れるはずがないことを知っていたから。
「良太……帰ってしまうの?」
「僕は……官職を失うわけにはいかない」
アンナの瞳から、静かに涙がこぼれた。
「私、信じてたのに」
その夜、彼女は僕にすがりつき、泣き叫んだ。
僕は振り払ってしまった。
その瞬間、アンナは床に崩れ落ち、意識を失った。
数週間後。
僕は帰国の飛行機に乗った。
窓の外に広がるベルリンの街は、あの日と同じ雪に覆われていた。
手のひらには、まだアンナの温もりが残っている気がした。
だが彼女はいない。
もう二度と会えない。
そして今。
僕は官庁で課長席に座り、淡々と書類に判を押している。
周囲からは「清水は切れ者だ」と持ち上げられる。
けれど夜になると、ふと耳にあの声が蘇る。
「良太……信じてたのに」
僕はこれからも、この後悔と共に生きていく。
愛を選べず、愛を裏切った男として。
―おしまい―
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