【銀の雨】 松山千春
今日の記事は、女の子同士の恋愛と別れの話です。
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あの夏の午後、蝉の声がやけに遠く聞こえた。
私は彼女の横顔を見ながら、不意に胸の奥が痛んだ。
「ねえ……」
彼女は氷の溶けかけたグラスを指でなぞりながら、私に言った。
「もし私が、普通の女の子として、男の人と恋をして、結婚して……そういう夢を見てるって言ったら、どう思う?」
いきなりのその言葉に私は、答えられなかった。
彼女の短い髪に憧れて、ボーイッシュな仕草に惹かれて、私は恋を始めてしまった。彼女と手をつなぎ、肩を寄せ合った時間は、夢みたいに甘くて、たしかに幸福だった。
「私はね……あなたと一緒にいると、すごく楽しい。だけど、このままじゃ、きっとダメになっちゃう気がするの。あなたを、ちゃんと幸せにできない」
そのとき、突然、窓の外に銀の雨が降り始めた。
彼女の声は雨音に溶けて、なおさら胸にしみた。
「待って……」私は思わず口を開いた。
「私、ほんとにあなたが好きなの。性別なんかどうでもいい。夢なんか、変えられるよ。私と一緒に生きてよ」
彼女は小さく首を振った。
「それができたら、どんなにいいか。でもね……私の夢はやっぱり、普通に女として生きることなの。ワガママでごめんね」
テーブルに置かれた彼女の手が、震えていた。
私はその手を強く握りしめたけれど、彼女は優しく指をほどいた。
「あなたのこと、ずっと忘れない。だって、本当に愛してたから」
最後に彼女が言った「ごめん」は、私に残された唯一のやさしさだった。
──銀の雨の向こうで、彼女の背中は遠ざかっていった。
思い出すたび、私は問いかける。
あのとき止められなかった自分の弱さと、彼女の夢とのあいだに答えはあったのだろうか、と。
いまも心に降り続くのは、あの日の銀の雨。
時間が過ぎてもその別れの感情が心に残り続けている、忘れられない。
そして、彼女が選んだ「普通の女性としての未来」への覚悟、そのとき見せた優しい笑みが忘れられない。
ーおしまいー
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貴方と暮らしたわずかな時間
通り過ぎれば楽しかったわ
これ以上私がそばに居たなら
あなたがだめになってしまうのね
いつの間にか 降り出した雨
窓の外は 銀の雨が降る
貴方のそばで 貴方のために
暮らせただけで幸せだけど
せめて貴方の さびしさ少し
わかってあげればよかったのに
貴方がくれた 思い出だけが
ひとつふたつ 銀の雨の中
ごめんと私に いってくれたのは
貴方の最後のやさしさですね
いいのよ貴方に ついて来たのは
みんな私のわがままだから
貴方の夢が かなう様に
祈る心に 銀の雨が降る
銀の雨が降る
銀の雨が降る
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